芦ノ牧大橋を渡り、温泉郷に入った人びとは、そびえ立つような緑の山々と雄大な大川の流れに圧倒されるでしょう。
かつての芦ノ牧は、周辺の土地の人びとにもそうささやかれるような「幻の村」でした。
そのせいでしょうか、開湯の歴史もさだかではないようです。
1200年余り昔、東大寺の大仏開眼に貢献した行基上人(ぎょうきしょうにん)が発見したという伝説が残されていますが、信憑性には欠けますし、歴史的文献を紐解いても「会津風土記」「会津鑑」などに「眼病に効く湯」という記述がわずかに残されているのみです。
江戸時代には大川のほとりに殿様のやな場が設けられ、明治時代には「あぎの湯」と呼ばれる天然の大露天風呂があったと伝えられていますが、明治35年の大川の氾濫による大洪水で「あぎの湯」は失われてしまいました。
芦ノ牧に現在のような賑わいが戻ってきたのは、戦後のこと。温泉街の旅館が現在の高台に移り、国道が開発され、芦ノ牧大橋が建設されてからのことです。
何度も洪水を起こし、温泉を、人びとを、歴史の流れの中に飲みこんできた大川。
しかし、今、その雄大な流れは、温泉を守るようにそびえ立つ山々とともに、この地を訪れる多くの人びとの目を楽しませ、心を癒しています。 |
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