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きよ彦 花 |
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西会津の清冽な水を感じるそば。野山の香りただよう天ぷら。
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心の中にひろがる西会津の風景。 春が訪れると、村落のどこからか雪どけの音が聴こえてくる。空気に土の香りと緑の香りが満ちる。冬が長いから、季節の変化が身近に感じられる。 西会津はそんな小さな村だ。 「きよ彦 花」のそばは、西会津の水の味がする。天ぷらからは、西会津の野山の香りがする。 「きよ彦 花」で料理をつくるのは元教師の渡辺夫妻。そばを打ってゆでるのはご主人、接客と天ぷらを揚げるのは奥さんの役割だ。 「天ざる」を注文すると、間もなく山盛りの天ぷらが出てきた。間を置かずゆでたてのそばも出てくる。長年連れ添った夫婦ならではのタイミングだ。 つなぎを一切使わず、西会津産のそば粉だけでつくる「十割そば」はコシが強く、香り高い。 「そばは打ちたてが一番だからね」と語るご主人は、できるだけ打ちたてに近いものを出すために、一度にそばを打たず、少しずつ打っているという。 味わい、歯ざわり、のどごし。どれをとっても「清冽さ」を感じるのは、ふたりが西会津に住んでいるとうかがったからだろうか。 山盛りの天ぷらはサラッとした食感で、いくら食べても飽きない。衣はなるべく薄く、良質な油を使い、短時間で揚げるという。 「もう少し後なら山菜を出せたんだけど」と奥さんは少し残念そうだ。 ふきのとう、よもぎ、たらのめ…。山菜が顔を出すと、店に来る前に摘んで来て、天ぷらにする。夏は自宅で栽培した野菜、秋はきのこ、冬は根菜が素材だ。どれも身近にある食材ばかりだ。 5月後半から6月後半にかけては藤の花、6月頃にはアカシアの天ぷらが登場する。 「アカシアはともかく、藤の花はなかなかメニューに加えてもらえなくて。1年たってようやく認めてもらえたの」 チラリと隣のご主人に目をやりながら、奥さんが言う。 店のプロデュースをした着物デザイナーのきよ彦さんは、奥さんの教え子だ。 「きよ彦くんが会津の街おこしに関わっているときに『先生、店やってくれ』って頼みこまれて」 本当は定年退職したら、ふたりで悠々自適な老後を送るはずだった。でも、今は楽しんでやっている。毎日いろいろなお客さんと出会う。街の人達ともすっかり顔なじみになった。 きよ彦さんは店だけでなく、ふたりの第二の人生もプロデュースしたのかもしれない。 店内には、きよ彦さんを特集した雑誌が置いてある。きっと奥さんは何回もこの雑誌をめくったのだろう。表紙は手ずれでボロボロになり、腕を組んだきよ彦さんの顔を見えなくなっている。 そのインタビューの中で、きよ彦さんはこう語っている。 「僕のデザインの中には、いつも西会津の自然がある」 |
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| きよ彦 花
会津若松市七日町2-41 |
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